2021年5月6日更新 Vol.184

節水すると節電になる?仕組みを解説します!

  • 電気
  • 水道


「蛇口を捻れば水が出る」。
日本では当たり前の光景であり、普段意識してこのことについて考える機会は少ないかもしれません。 そのなかでも、水を使うときに電気も使っているということは、イメージしにくいかと思います。
考えてみれば「なるほど!」納得の仕組みについて、解説します。

実はこんなところで!蛇口から水が出るまでに使われる電気

①河川などから浄水場へ水を送るとき
②浄水場で水を浄化するとき
③水を使うとき(※)
④下水処理場で下水を処理するとき
河川などを流れる水はまず、浄水場で浄水処理が行われます。この処理で、各種設備を動かすために電気が使われます。家庭で水を使うときにも、各家庭に水を運ぶポンプも電気で動きます。なお、お湯を使うときは、オール電化住宅なら電気、そうでなければガスで水を温めるのが一般的です。下水処理場も浄水場と同様、水をきれいにして河川や海に流すために設備を動かしています。 このように全体で見たとき、水を使うことは電気を使うことと同義でもあります。水1Lを節約すると約0.98kWhの節電につながる、という試算もあるそうです。
※一般的に3階くらいまでの低層の建物は「直圧直結給水方式」で水圧を利用して水を届ける給水方法が多く使われているため、電気は使われません。しかし4階建て以上の建物では「増圧直結給水方式」か「貯水槽水道方式」が使われることが多く、この場合は設備を動かすのに電気が必要です。停電時に断水が起きるのは、このためです。

節水⇒節電⇒地球環境保護につながります

このように、わたしたちが何気なく使っている水道水にはたくさんの電気が使われていて、その電気をつくるために、発電方法によっては発電所からCO2が排出されています。 必要以上に水を使わないようにすることは、「使っていない部屋の電気を消す」などの意識しやすい節電と同じように、電気のムダを省き、CO2の削減につながります。 家庭の水まわりからのCO2排出量は、日本全体の5%に相当します。 2050年までに温暖化ガスの排出量を実質ゼロとする「カーボンニュートラル」を目指す機運が国内で高まっています。 2021年4月にアメリカ政府が主催した気候変動に関する首脳会談(サミット)で、日本は2030年までに13年度比46%の温暖化ガス排出削減目標を発表しました。 家庭での節水も、積み重ねれば社会全体の節水、節電、ひいては地球環境保護につながることでしょう。

大切にしよう、水資源

今回は節水による節電効果について解説しましたが、そもそも水自体が大切な環境資源です。 「水の惑星」とも呼ばれる地球ですが、実は人間が生活に利用できる水は、たったの0.01%。 地球上に存在する水のほとんどは海水で、淡水の大部分も北極・南極の氷なので、使うことのできる水というのは非常に限られているのです。
世界人口の増加、新興国の経済成長、気候変動などにより、水の使用量は年々増大しています。 今後は世界各地で水不足が深刻化すると懸念されます。 一人ひとりにできることは小さなことかもしれませんが、限りある資源を大切に使うことを心がけて暮らしていきましょう。

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