2020年4月5日更新 Vol.145

これからは「ガス」の時代!?
エコなバイオ「ガス」発電とは

  • 電気

有機性廃棄物を再利用

皆さん、バイオガス発電って聞いたことありますか? 本コーナーで紹介してきたバイオマス発電は森林で間引かれた間伐材や建築の廃材、パーム油を絞った後の殻など、天然由来の植物を中心とした原料を燃やすことで、「カーボンニュートラル」な電気をつくります。
これに対しバイオガス発電は、食品廃棄物や下水汚泥、家畜の糞尿などの有機性廃棄物を発酵させ、発生したガスを燃やして電気をつくります。そのため、主にゴミ処理場や下水処理場に設置されています。

エコでシンプルなバイオガス発電

有機性廃棄物を発酵させると、メタンなどのガスと液体(肥料)に分解されます。バイオガス発電はそのガスを燃やすため、CO2は排出されません(ただし、発酵の段階でCO2が発生します)。バイオマス発電の場合、カーボンニュートラルとはいえ、樹木を燃やすとCO2が発生するため、その点でバイオマスよりエコな発電方法といえそうです。
また、ガスを燃やすだけなので、バイオマスに比べて燃焼システムの構成がシンプルになります。そのためより安価に電気がつくれ、メンテナンスしやすいというメリットがあります。

ただしデメリットも

いいことずくめに見えるバイオガス発電ですが、季節や時間によって発生量や熱量が変動するため、発電量が一定になりにくいというデメリットもあります。このデメリットを補うために、天然ガスと一緒に燃やすこともあります。ただ、最新設備は発酵時の温度管理を自動化することで、平均してバイオガスが採取できるそうです。
また、バイオガスの原料は有機性廃棄物のため、臭気が生じます。そのため、設備には換気システムが必須です。

クリーンな電気が生まれます

現在、自治体のゴミ処理施設や下水処理施設にバイオガス発電設備が併設されるケースが日本各地で増えています。メーカーも技術開発に力を入れてきた結果、小規模のバイオガス発電施設もつくられるようになり、農業や畜産の現場でも導入が進んでいます。
フードロス(食品廃棄物)を有効活用するためにつくられたバイオガス発電所もあります。つくられた電気は、環境意識の高い消費者や事業者に向けてCO2フリーな、クリーンな電気として販売するケースもあります。
環境への負荷を下げ、ゴミなどの有機性廃棄物を有効活用するバイオガス発電。その数が増えることを願っています。

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