2022年3月15日更新 Vol.215

プラスチック資源循環促進法が成立
製品の使い捨てを減らしましょう

  • リサイクル・その他

12のプラスチック製品が対象に


2022年4月に「プラスチック資源循環促進法」が施行されます。
もともと日本では1997年に容器包装リサイクル法が施行されています。容器ごみの減量を図り、再利用につなげるための法律で、消費者が分別排出、市町村が分別収集、事業者が再商品化(リサイクル)するという役割分担を定めています。今回の法律は、近年の海洋汚染問題や、2050年カーボンニュートラル実現に向けたプラスチックの有効活用などを目的としており、包装容器の中でもプラスチックに焦点を当てた法律です。

対象となるのは以下のワンウェイプラスチック(特定プラスチック使用製品)12製品で、製品の設計・製造から廃棄物処理まで各段階で資源循環の取り組みが求められています。
フォーク、スプーン、テーブルナイフ、マドラー、飲料用ストロー、ヘアブラシ、くし、かみそり、シャワーキャップ、歯ブラシ、衣類用ハンガー、衣類用カバー

設計から処理まで各段階で措置

上記製品の製造業者はプラスチックの減量化や長期に使用できるよう、国の示した指針に沿って製品をつくる必要があります。たとえばあるメーカーではコンビニチェーンに卸しているスプーンなどの持ち手を穴あきタイプに変更し、使用するプラスチック量を削減しました。マドラーに植物由来の原料も含有させることでプラスチックの使用量の削減を図るメーカーもあります。かみそりメーカーでは紙製のかみそりを開発し、順次ホテルなどに提供していく予定です。

また、販売・提供を担うコンビニエンスストアや宿泊施設、クリーニング店などでは一部の有料化や受取辞退によるポイント還元といった対策を取る予定です。

排出・回収・リサイクルは自治体との提携も

日本のプラスチック製品はこれまで自治体などが回収後、焼却して熱利用されるケースが多く、真の意味でのリサイクルではないといった批判もありました。
本法では、製造・販売事業者らが「自主回収・再資源化事業計画」を作成し国の認定を受けることで、廃棄物処理法に基づく業の許可がなくても製品の自主回収・再資源化事業を行えるように定めました。また「再資源化」に熱回収を含まないため、熱回収のみを事業内容とした業者は認定が受けられません。

このように、消費者や自治体の協力のもと、製造・販売業者が積極的にプラスチックをリサイクルできるよう、随所に配慮がなされています。

不要なモノはもらわないことが最も重要

消費者である私たちには何ができるでしょう。
たとえば、コーヒーショップチェーンなどで紙製のストローが導入されたり、ファーストフードチェーンでバイオマス由来のプラスチックが活用されたりと、脱プラスチックの活動は徐々に広がりを見せつつあります。そういったショップをあえて選ぶのも一種の「エシカル消費」と言えるでしょう。

ただ、不要な袋やプラスチック製品などは、受け取らないのが最も環境負荷の低い行動です。 エコバッグを持参する、廃棄を前提とした製品を受け取らない、こうした意識が全体でのプラスチック削減に大いに役立つといえます。

以前の記事でも紹介しましたが、太平洋の海上には大量のプラスチックごみが浮遊している「太平洋ごみベルト」が存在しています。こうした状況が拡大しないよう、日ごろからできることを実践していきましょう。

関連動画