2021年10月5日更新 Vol.199

実は先進国でした!
日本の太陽光発電の「将来像」

  • 電気

日本の太陽光は世界で3位の発電量


発電時にCO2を排出しない再生可能エネルギー(再エネ)は、東日本大震災の後に「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」(FIT制度)が導入された結果、各地で導入が一気に進みました。
国際エネルギー機関・IEAの調査によれば、日本の再生可能エネルギーは絶対量で世界6位に位置しており、太陽光発電だけでみれば日本は中国・アメリカに次ぐ3位の発電量を誇ります。
また、国土面積あたりの太陽光発電導入容量は主要国の中で最大となります。ちなみに日本の太陽光発電は1970年頃からスタートしており、2000年頃までは導入量、生産とも世界一でした。

日本は平らな広い土地が少ない

中国やアメリカと違い広い平坦な土地が少ない日本では、太陽光発電設備の導入におのずと限界があります。こうした問題を解消するためにたとえば農地のうえにソーラーパネルを設置して発電する営農型太陽光発電「ソーラーシェアリング」といった手法もありますが、なかなか導入が進まないのが実情です。その背景には農地を他の目的に転用する際の手続きが煩雑なことなどが挙げられます。

また、山林などを切り開いてソーラーパネルを設置した場合でも、メンテナンスなどが不十分なため土が流れ出すなどして周辺住民とトラブルになる事例も発生しています。
そのため、山間地の太陽光発電の設置に厳しい規制を設ける自治体が増えています。

今後の主力エネルギーとして期待される再エネ

一方で政府は2050年に温室効果ガスの排出を実質ゼロとする「2050年カーボンニュートラル」を宣言しており、そのために再エネの主力化を進めています。
中でも太陽光発電は2050年までに260~370GWが必要とされています。2020年時点での太陽光発電量は約64GWであり、今後30年で約4~6倍となります。
しかし、前述の通り日本の太陽光発電量は既に世界で3位、国土面積当たりで世界1位となっており、拡大に向けては一層の工夫が必要になります。

将来に向けた課題

今後に向けた課題はいくつかあります。まず、ソーラーパネルの発電効率を上げることが重要です。そのために各種の研究機関がさまざまな素材で試行錯誤しています。
また、これまで設置されてこなかった場所を開拓する必要もあるでしょう。そのため先述したソーラーシェアリングを普及させるため、一層の規制緩和が検討されています。関連法案を整備することで今後は農地での太陽光発電も進むでしょう。

その他として市街地におけるオフィスや住宅へのソーラーパネルの設置も進むと考えられます。平坦な土地が少ない日本では現実的な解決策であると同時に、都市部のソーラーパネル設置が進むことで、自分たちの使うエネルギーを自分たちで賄う「エネルギーの地産地消」も実現する、というメリットもあります。


既に政府は、国や自治体が公共建築物をつくる際は太陽光発電設備の設置を義務としています。将来は住宅をつくる際も太陽光発電設備を設置することが義務化されるかもしれません。これから家を建てようという方はぜひこうした動きにもご注目ください。

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