12月に入り、朝晩の冷え込みが厳しくなってきましたね。この季節になると思い出すのが、子どものころに遊んだ“霜柱(しもばしら)”です。登校時などに霜柱を見つけては、足で踏んでザクザクという音と感触を楽しんだ記憶があります。今回は、霜柱のできる仕組みや発生条件について紹介します。
いつまでもあると思うな!?冬の風物詩“霜柱”
- リサイクル・その他
地中の水分が氷の柱に
霜柱は、気温が0℃を下回る寒い冬の朝に、地表の水分が凍って柱状に伸びる現象をいいます。地表の水分が凍ると、まだ凍っていない地中の水分が表面張力(毛細管現象)によって吸い上げられ、冷えた地表に近づくことで凍ります。これを繰り返して地表の氷が徐々に押し上げられて霜柱になるのです。
東日本を中心に広がる霜柱
この霜柱、どこでも見られるわけではなく、日本では主に東日本を中心にみられる現象です。「東日本と西日本でそんなに気温差があるの?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、霜柱ができるには、温度のほかにもうひとつ大切な条件があります。それが東日本を中心に広がる関東ローム層という火山灰を含んだ土。火山灰を含んだ土は、細かい粒子でできており、柔らかく、水分を含みやすい構造のため、霜柱がよくつくられるのです。同様に腐葉土などに覆われた里山や山林などもこの条件に合っています。
冬の風物詩もわたしたちの行動次第!?
ただし、東日本のなかでも、降雪の多い北陸地方などは地面が雪に覆われているので霜柱が育ちにくい環境です。また西日本でも南九州などは比較的温暖な気候ですが火山が多いので土が柔らかく、霜柱を目にする機会があるようです。気象条件と土壌条件という2つの大きな条件により見られる貴重な現象だったのです。
2020年10月に発表された、菅首相による「2050年温室効果ガス排出量実質ゼロ宣言」。日本でも国をあげて動き出した温暖化の取り組みですが、霜柱の発生する気象条件を考えると、温暖化による暖冬への変化も無関係とはいかないかもしれません。地球の未来はわたしたちの行動によって大きく変化していきます。冬の風物詩“霜柱”がいつまでも見られる環境を守っていきたいですね。