2020年2月5日更新 Vol.139

二酸化炭素を出さない電気?
世界で増える「RE 100」

  • 電気

再生可能エネルギーで事業を行う企業の集まり「RE 100」

皆さんは「RE 100」という組織をご存知ですか。これは企業が使う電力を最終的に風力や太陽光などの再生可能エネルギー(再エネ)に100%切り替え、温室効果ガスの排出量を削減し、地球温暖化の抑制を図る団体です。RE 100とは「Renewable Energy100%」のこと。本部はイギリスにあり、2019年のRE 100の年次報告書によれば、参加企業数は全世界で211社、日本からは30社が参加しています。
最近では環境省もRE 100に加入するなど、公的機関でも再エネ調達の動きが広まっています。

「RE 100」加入には条件が

地球温暖化の原因の1つには発電などで化石燃料を燃やすことで生じる二酸化炭素(CO2)があると推測され、脱炭素化はもはや待ったなしの状況です。特に企業へ投資する際はその企業が環境負荷や社会、ガバナンスを意識しているかどうかを判断基準に据えるESG投資が主流になりつつあります。そのためRE100への加盟は、評価されて投資対象となったり、環境意識の高い企業を好む消費者に、好感を持って受け入れられたりする傾向にあります。
なお、RE100には10万kWh以上の電力を利用している、○○年に再エネ100%にすると目標を設定し、実施状況を毎年報告するなど、幾つかの加盟条件があります。

中小企業に向けたRE 100も登場

これらの条件を満たし、RE 100に加入している企業は当然大手が中心となります。しかし、中小企業だから温暖化対策をしなくてもよいというわけではありませんよね。そこで中小企業版RE100「再エネ100宣言RE Action」が2019年10月から活動を開始しています。
これはグリーン購入ネットワーク(GPN)、イクレイ日本(ICLEI)、公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)、日本気候リーダーズパートナーシップ(JCLP)の4団体が立ち上げたもので、2020年2月時点の加盟団体数は51となっています。また、活動に賛同するアンバサダーに外務省、京都市といった省庁・自治体も名を連ねています。今後も再エネで自分たちの事業活動を行いたいという企業・団体は増えるでしょう。

これからはクリーンエネルギーがトレンドに

たとえば2018年RE 100に参画したアップル社は、自社の取引先である下請け企業に対し、アップル製品の製造時には再エネ100%を使用するよう求めています。また、企業が原料や部品などを調達する際、CSR(Corporate Social Responsibility・企業の社会的責任)の観点から正しく管理されているかを問われるケースも増えています。中小企業にとってはクリーンな電気で作られた製品であることが付加価値になるケースが増えているといえます。
また、自治体でも再エネ導入が活発になっています。東京都は都庁第一本庁舎の電気を再エネで100%賄うことを決め、民間発電業者が提供する再エネを落札。2019年8月から再エネに切り替えました。また、世田谷区は「RE 100」の主旨に賛同し、区民・事業者・区がそれぞれの立場で再生可能エネルギーの理解・活用を進める「せがたや版RE 100」を推進しています。
脱温暖化を実現する電気がみなの手元に届く、そんな社会が1日も早く実現するとよいですね。

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