気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の2018年の発表によれば、産業革命から現在まで既に地球全体の平均気温が1℃上がっており、その原因は温室効果ガスが増えたためと推測されています。温暖化の影響と見られる異常気象が世界のあちこちで起きています。大気中に一番多く含まれている温室効果ガスは二酸化炭素(以下CO2)で、CO2の排出量を減らすためさまざまな方法が検討されています。2020年第1回目となるコラムではそれらの最新手法についてご紹介します。
【2020年版】地球温暖化を防ぐ
二酸化炭素削減の最前線
- リサイクル・その他
温室効果ガスを減らしたい
CO2を地下深くに「埋める」
現在、行政で実証実験を進めているのがCO2を海底に埋める方法「CCS」(Carbon dioxide Capture and Storage)です。火力発電所や工場などからCO2を回収し、海底1000メートル以上の地層に埋め、貯蔵します。2016年から北海道・苫小牧市で実証実験が始まっています。
また、「CCUS」(Carbon dioxide Capture Utilization and Storage)という技術もあります。これは、分離・貯留したCO2をほかの目的で活用する技術です。現在アメリカではCO2を古い油田に注入し、油田に残った原油を押し出しつつ、CO2を地中に貯留する採掘法が開発されました。CO2削減と石油増産につながるビジネスモデルとして注目を集めています。
CO2を「リサイクル」する
CO2を単に貯蔵するだけでは温暖化対策として不十分です。現在、脚光を浴びているのはCO2を活用し製品をつくる「カーボンリサイクル」の技術です。
資源エネルギー庁ではカーボンリサイクル室を設置。民間企業や研究機関などがCO2をリサイクルし、化学品(ポリカーボネートなど)、液体燃料(バイオジェットなど)、コンクリート(道路ブロックなど)などに再生できるよう、イノベーションを促進しています。
リサイクルにあたってはどうやってCO2を集め、濃度を高めるかといった課題があります。同庁が発表しているロードマップによればカーボンリサイクルは早ければ2030年ごろから順次実用化され、その後、運用コストの引き下げが図られるとのことです。
未来の地球を守ろう
国際エネルギー機関(IEA)の2017年版報告書によると、太陽光発電が2040年までに多くの国や地域で最も低コストのエネルギー源となり、低炭素型電源の設備容量として最大になる見通しとのことです。家庭用太陽光発電などは今後、低コスト化が進み、有力な選択肢になる可能性があります。No.124のコラムでも太陽光発電のメリットを紹介しましたが、今後は各家庭でCO2を出さずに自分たちで電気をつくり、使う社会が来るかもしれませんね。
エネルギーのムダな使用を控えることが、地球温暖化防止につながります。2020年もエコな行動を心がけましょう!