1月20日に大寒を迎え、今がまさに冬本番。春が待ち遠しいと思っている方が多いと思いますが、そんな寒さの中でも快適に過ごしている人たちがいます。それは、北海道在住の方々。北海道は外が寒い分、家の寒さは我慢できず、それゆえ、床暖房やストーブを惜しみなく稼働するという説があります。実はそれだけではなく、家のつくり、特に窓に大きな違いがあるのです。
住宅の断熱性能は窓で決まる!
暖かな家づくりが温暖化対策にも一役
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日本の窓は世界的に見て遅れている
日本の窓は断熱性能が相対的に低く、性能に大きな課題があります。冬に暖房の熱が逃げる割合は52%、夏の冷房中に入ってくる割合は74%(図参照。YKK AP調べ)にも及ぶといわれており、エネルギー消費で大きなウエイトを占める冷暖房の負荷低減には、熱の出入りが大きい窓の断熱性能を上げることが重要です。寒冷地の北海道では、いち早く断熱性の高い窓が取り入れられてきました。
アルミと樹脂で熱伝導率が1400倍違う
窓のガラスは複層や低放射といった省エネ対応のものが一般化してきましたが、問題は枠にあります。日本のサッシの大半は枠がアルミでできていますが、その熱伝導率はアルミと樹脂で約1400倍(!)も異なります。しかし、樹脂窓の普及は進んでおらず、60%を超える欧米に対し、日本は15%にとどまっているという事実が大きな問題となっています。
樹脂窓はお金のかからないエアコン?
樹脂窓とは、フレームが樹脂製でできている窓のこと。樹脂は断熱性・遮熱性・気密性が三拍子揃った非常にすぐれた素材です。熱の伝わりにくい樹脂素材を使用することで、室内の暖かさを逃さず、室外の冷たい空気を室内に伝えにくくします。確かに初期投資は高くなりますが、「一度取り付けたら、お金のかからないエアコン」、それが樹脂窓なのです。
寒さを感じるのは室温だけにあらず
湿度や風、日射などにも影響される体感温度は、室温と必ずしも一致しません。エアコンの設定温度の割に、なんだか寒く感じるのは周囲の窓や壁が冷えているせいかも。アルミ複層ガラス窓を樹脂窓にすることで、体感温度は2℃アップするという実験結果も。これは、セーター1枚分を身につけた暖かさに相当します。
「樹脂窓」の普及が地球を救う
20年以上前に建築された日本の家が断熱性の高い樹脂窓になれば、3300万tの二酸化炭素(CO2)の排出を抑えることになり、日本中の全国民が一人当たり20本のスギを50年育てていくのと同じ削減効果になると言われています。2030年度の排出目標26%減(2013年比)の達成に向け、家庭部門の取り組みが重要となる中、「樹脂窓」の普及により、どれだけの効果があるか注目です。