2017年4月25日更新 Vol.39

体温でも発電ができる?
最新の環境発電技術がスゴイ!

  • 電気

微細な発電が世界のビジネスを変える

現代社会は産業・生活を支えるインフラとして大容量の発電所が求められてきました。しかし、「環境発電技術」(エネルギーハーベスティング)は、最先端技術を活用し、わずかな光や振動、温度差などを利用し、発電を行います。これまでとは規模も量も桁違いに少ないこの発電こそ、私たちの未来をさらに便利にする切り札といわれています。



環境発電は、身の回りに多数存在する、小さなエネルギーを収穫(ハーベスティング)し、利用することで発電します。主に以下のようなものがあります。

・照明光を利用した発電
・機械が発する熱や振動を利用した発電
・携帯電話などが発する電磁波を利用した発電

細かな管理を可能にする環境発電



たとえば衣服などの季節や温度によって売れ行きが左右される商品を考えて見ましょう。仮に、世界中の温度データを検証した結果、今年は冷夏だと予想され、温かな衣服が売れると予測されたとします。



そうした際に環境発電を利用したセンサー類をすべての工程に備え、リアルタイムで自社の工場ラインの稼働状況を把握できる衣料品メーカーがあったとしましょう。その企業は原料の生産状況をネット上で確認し、調達が可能で、製造工程でもできあがりまで各種データによる管理を行っています。このメーカーは各種データの活用結果、生産ラインの効率化や、計画精度の向上が実現しているため、ライバルより早く、優れた商品を世に送り出せることになります。

IOT時代を支える新たな発電形態

こうしたデータ集積システムを「IOT」と呼びます。IOTとは「Internet Of Things」の略。「物事のインターネット」という名の通り、世の中のあらゆるモノがインターネットにつながることで、膨大な量・範囲のデータが収集・分析され、ビジネスや社会全般に大きな革新をもたらすと言われています。ただし、あらゆるモノがインターネットにつながっているためには、長時間アクセスできる電源が必要です。そのセンサー機器等を長時間稼動させるのに適しているのが環境発電技術なのです。

既に実用化も始まっています

たとえば農業では太陽光発電を利用し、10分ごとに日照量や温度、水分含有量を測り、データを送信するセンサーが既に実用化されており、野菜の品質管理に貢献しています。また、空気中の湿度変化によって水分の吸着量が変わる薄い膜を作成し、その膜が屈曲することで発電する装置も開発されています。
こちらは日本の理化学研究所が昨年発表した技術。
まだ実用化はされていないもものの、安価に生産可能なため、世界中から注目を集めています。

体温で発電できるエコな時計もあります

最後に、こうした技術はウェアラブル端末の普及にも大きく貢献すると考えられます。たとえば、人間の体温とデバイスとの温度差をエネルギーとして取り出し、電源として活用しているスマートウォッチはアメリカでこの夏から発売予定です。身の回りの環境から微細なエネルギーを電気に変えて取り出す「環境発電」の進化はとどまるところを知りません。人類の未来を変えるテクノロジーとしてぜひ覚えておいてください!

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