2021年2月5日更新 Vol.175

海洋プラスチック問題待ったなし!
太平洋ごみベルトって?

  • リサイクル・その他

波間に漂う巨大なプラスチックごみ群


本コラムではこれまでもプラスチック問題について積極的に紹介してきました(海が危ない?海洋プラスチック問題そのプラスチック 捨てるのはちょっと待って!)。今回はプラスチックごみが海に流れ出た結果形成された「太平洋ごみベルト」についてご紹介します。
太平洋ごみベルトは、海上風や潮流の作用により、主にアメリカ大陸とハワイ諸島の間に形成されたごみの塊です。90%以上をプラスチックが占めており、総面積は160万キロ平方メートルといわれています。
日本の総面積・約38万平方キロメートルの4倍以上の広大なごみの塊がいま現在も太平洋上を漂っています。

東日本大震災の流出物も

オランダなどの研究グループによれば、太平洋ごみベルトのプラスチックごみのうち、製造国がわかったものの中では日本製が最も多かったそうです。これは東日本大震災の津波の影響があるようです。自然災害は不可抗力ではありますが、それでも日本のごみが世界の海を汚している現実は痛ましいですね。
プラスチックごみを餌と勘違いし誤飲する海の生き物は多くいます。さらにこれらのごみの中には使われなくなった漁網が含まれています。海中に漂う漁網にからめとられて死んでしまう海の生き物も多いのです。

回収は遅々として進まない

こうした問題を前に、海洋学者や漁業関係者などが立ち上がり、ごみを回収する動きも出ています。しかしそれは一部にすぎません。
また、 毎年800万トン、ジャンボジェット機に換算して約5万台分ものプラスチックごみが新たに海に流れ出ているという調査結果もあります
さらに世界各国から廃プラスチックを受け入れてきた中国が2018年に輸入を禁じる法律を作ったことから、現在、世界中で廃プラスチックの処理をめぐり問題が発生しています。2050年には海にいる魚より海洋プラスチックごみの量が上回るという研究もあり、かけがえのない地球環境をそのまま後世に残し、伝えていくために、プラスチック問題の解決は待ったなしといえるでしょう。

なるべく使わない、使ったものはリサイクル

では、わたしたちにできることは何でしょうか。 たとえば、新型コロナウイルス感染症の影響でテイクアウトが増えるなかで、容器にバイオマス由来の環境にやさしいプラスチックを使用する企業があります。消費者であるわたしたちは、環境問題に積極的に取り組む企業として、その企業を選んで購入することが「エシカル消費」という応援になります。エシカルとは「倫理的な」という意味で、人や地球環境、社会に配慮した消費行動を指します。

プラスチックを使用するメーカーが企業の責任においてリサイクルに取り組む事例も増えています。たとえばプリンターメーカーが店頭にインクカートリッジのリサイクルボックスを設置しているケースなどがあります。これらを活用することで、無理なくプラスチックごみの削減が図れます。

個人でできる取り組みもあります。一例ですが、道端や公共スペースなどのビニール袋やプラスチックごみなどを拾って所定の場所に捨てれば、これらのごみが海に流れ着くことはありません。また、海岸でごみを拾うといった行動も立派な環境保護活動です。
身の回りで取り組み可能な小さなことから始める。そのささやかな一歩が地球を救うことになります。

関連動画